一位の座から退いて一年が過ぎた頃、クラブ界は声を上げ、皆の間違いをただすことを心に決め、投票によって現在27歳のSpace Ibizaはこの最後の年に一位に返り咲いた。この何千もの音楽トレンドと何百万ものファッションブームを乗り切り、北と南アメリカのクラブから王座を奪う勢力の強いクラブは、またしても記憶に残る一年を過ごした。だからこそ我々DJ Magもこの結果には一切文句はない。これは簡単になせる技ではない。Space IbizaがSpace Ibizaである所以は、たくさんある。音楽プログラミングの幅の広さと深さ、国際的なダンスフロアのフレンドリーな雰囲気、そして音楽への敬意を表する姿勢などだ。

1989年、プラヤ・デン・ボッサは静かな休暇を過ごしたい家族のための場所だったが、年を経て、オーナーであるPepe Rosselleは、進化する法律と観光客の増加など、時の流れの変化にいち早く反応し、ホワイト・アイルのアクティビティーの中心地へと変えた。こうして、2016年にSpaceは最高の遺産を残して去って行く。このクラブは日中のパーティーを大人気にした第一人者であり（1990年代に最初にブループリントを示した）、イビザ島にあるすべてのクラブが超巨大なオープニングとクロージングパーティーをするようになった理由であり、イビザだけはなく世界中に伝播し、空前の人気を博している『テラス・パーティー』シーンの生みの親だ。

また、この1年の間に大きな変化は無かったにも関わらず、技術的にも、Spaceのディテールは驚くほどのものだ。この巨大なクラブは毎年夏に60万人以上の訪問者を誇り、650人以上のDJとライブパフォーマンスがそれぞれのシーズンに訪れ、オートクチュールの衣装を身にまとった多くのダンサー達がパーティーに鮮やかな色を加えている。クラブでは500人以上のスタッフが働き、5つのアリーナと5つのお手洗い、3つのVIPエリア、10個の更衣室、医務室まであり、カスタムデザインのファンクションワン音響システムと、有名なDr. Higini ArauによってデザインされたTerraceの音響効果まである。また、すべてのシーズンで巨額の援助プログラムによって地元の若者のチームに投資し、多くのNGOと赤十字とコラボレーションしている。

「イビザ島での夏はSpaceと同義になってきた」とPepeは事実に基づいて語る。フェスサイズのイベント「We Love」（2015年に終わり、2016年には当初同じ名前を使いたかったが、民衆の抗議に寄って泣く泣くSundays At Spaceと名乗っていた全く違うプロモーターチームに取って代わる）、Carl CoxのRevolution、Gliterbox、アンダーグラウンドナイトKehakumaと、クレイジーな祭り大好きクルーElrowなどもすべて伝説的なイベントで、シーズンの中毎晩プレイする昔と最近のDJスーパースター達の目がくらむようなリストも素晴らしい。

「今年で27年を迎え、時代の終わりを告げる。ユニークで素晴らしいストーリーと、私たちの最高の冒険の終わりだ」とPepeは言う。「この賞を受賞したことにより、このクラブと、音楽と、私たちの芸術的スタンダードで働く全ての人々の長年の多くの努力が高く評価された。Carl Coxなどのアーティストは自然にSpaceを故郷だと感じ、このクラブは彼らに表現し、才能あふれるキャリアを築く場所を与えた。そして言うまでもないが、何千人もの若い人達がSpaceをただの新しい音楽に触れる場所としてではなく、故郷だと思ってくれている。今年で27周年を迎え、Spaceを定義づけるような年になるだろう。今年は、音楽を友に過去の美しい記憶を思い出しながら、すべての人々が共有する感情が入り交じった大勢のお祝いになるだろう。こうして私たちは未来へあゆみを進めて行く」