イビザの数あるクラブの中でバレアレス色を最も色濃く表現しているクラブはDC-10だと言える。

空港付近にあったファームハウスと飛行機格納庫を改築して出来たDC-10は、設立以来一貫してアンダーグラウンドダンスミュージックに特化して来たダンスクラブだ。

レジデントパーティCircolocoは2000年後半にかけてミニマルテクノブームの火付け役としての役割を果たしていた。当クラブのレジデントであるTania Vulcano やRicardo Villalobos、LucianoなどのゲストDJを中心に着実にその基盤をイビザ島に築いて来たDC-10は今やヒッピー系のクラブとして根強い人気を誇っている。

また、近年では”Paradise”(Jamie Jonesと彼のレーベルアーティスト・ゲストの企画）や”Wild Life” (Disclosureが主催するイベントのシリーズ）などの新たなパーティも行なっている。さらに

ミニマルテクノを基盤にMaster At Work、Kim Ann Foxman、Maceo Plex、Horsement Discoなどを誘致しアンダーグラウンドダンスミュージックにおける新たな境地を開拓している。

巨大なテラスを含む３つのダンスフロアは、オーディオエキスパートのAndy KayllとRich Walshによって絶妙に調節されたサウンドシステムが用意されており、異次元の空間を演出している。

音楽業界がよりコマーシャライズされたものになりつつあるこの時代にDC-10はその防塞としての存在を存分に発揮し、その素晴らしいサウンドとコンセプトで毎夜オーディエンスを魅了しつづけている。