今年、Dance Valley Festivalの公式アンセム‘Intuition’ (feat. Anna Yvette)や、700万もの再生数を記録したNino Lucarelliとの初のコラボ曲‘I Should Have Walked’で注目され、 現在、Revealed Recordingのレジデントとして精力的に活動しているDJ/プロデューサーのKAAZEがデビューアルバム”Dreamchild”を10月4日に発売した。

 

 

常に新しい影響を受け入れてきたKAAZEらしく、エレクトロニック・ミュージック界の異端児MaddixやKSHMR、期待の新星ボーカリストElle VeeやJohnathon Mendelsohn、 KARRA、NEEN、Ninoらとのコラボレーションがフィーチャーされており、彼のシグネチャーであるメロディックでプログレッシブなサウンドと絶妙なせめぎ合いを見せている。

 

 

 

KAAZE自身の多様な子供時代の影響が表れた”Dreamchild Interlude”がアルバム全体のトーンを決めている。所々ギターの盛り上がりがNinoのパワフルなレトリックと相まって80年代のグラム・ロックを思わせ、Revealedには珍しいアレンジとなっている。

 

しかし、”Chain Me Up”にスムーズにつながっていくにつれ、この2つの不似合いなハウスのハーモニーがより浮き出てくる。

キックのシンコペーションが控えめなシンセにストリングスのメロディを乗せ、Revealedメンツのプログレッシブなダンスフロアにちょうど良く、KAAZEのスリリングなセットの中でも遜色ない完成されたサウンドを作り出している。

 

 

もう少しビッグルームなどを好む人には,”California Gold”でのKARRAのパフォーマンスとNEENの”Up In Smoke”は必聴だろう。曲の終盤に向かって、高揚するシンセが圧倒的なボーカルを駆り立て、脈打つベースとハードなメロディに移った途端、まるでキャノン砲の紙吹雪が見えるようだ。

 

 

”Poison Lips”で再度エレキギターが鳴りJonathan Mendelsohnの耳に残るボーカルが始まる。歪ませたキックと揺れ動くシンセはKAAZEがフェスのアンセムの代名詞であることを再認識させてくれる。

 

その後、”People Are Strange”では60年代のサイケデリックへタイムスリップし、NinoのThe Doorsのクラシックの再現とMaddixのシグネチャーである太くパンチの効いたクレッシェンドが、まるでステージ上のジム・モリソンが喜びそうな熱狂的なエネルギーとなる。

 

 

フロアを興奮させたまま続くのはNinoの”Eye of The Storm”。突き刺すようなシンセの雲の渦がKAAZEの独特なサウンドを再び前面に押し出してくる。

 

 

そしてダンスフロアから少し遠回りし、Ninoのスムーズな切り替えから”My Favourite Enemy”でかき鳴らされるスタッカートへ。そしてElle Veeの”This Is Our Kingdom”のポップ色の強いサウンドスケープでは、シンセが美しいボーカルパフォーマンスの引き立て役となり、このレコードのラジオヒットの可能性を垣間見せる。

 

 

そして、今年前半にリリースされた傑作シングル”Devil Inside Me’ (feat. KARRA)”ではKSHMRが登場。彼らの容赦のないパワフルなアレンジは、レーベルのボスであるHardwellに期待されるようなハードなスタイルを彷彿とさせる。

 

 

 

再び過去へのオマージュが現れるのはNinoの”I Should Have Walked Away”で、KAAZEはCutting Crewの80年代のチューンに躍動感のあるベースとトランスのようなシンセを合わせている。Elle Veeはラストを飾る曲”Dark Angel”でボーカルとして再登場。シンセのディレイと変化する調子がこの変化に富んだアルバム全体のリフレインとなっているようだが、そこにはKAAZEの子供時代のオルタナティブとエレクトロニカからの影響を常に感じさせる。

 

 

 

2017年のMiami ID of The Yearとなった”Triplet”から、レーベルのボスであり長きにわたり彼をサポートしているHardwellとの注目のコラボで数百万再生を得た”We Are Legends”まで、すでに多くの称賛が寄せられている一連の作品と並び、”Dreamchild”は間違いなく彼のプログレッシブのパイオニアの頂点としての卓越したキャリアのマイルストーンとなるだろう。

 

 

 

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