プラチナレコードを生み出したアーティスト、レーベルを率いるボス、フェスティバルプロモーター、真のイノベーター・・・。Kevin Saundersonを言い表す言葉は数知れず。1964年にこの世に誕生してから、ダンスミュージックシーンに数多くの影響を与え続け、今やレジェンドとして君臨するKevin Saundersonが、息子のDantiezとコラボし「Good Luck」をリリースしたとの連絡が入り、今回DJ MAG JAPANの独占インタビューを受けて頂く運びとなった。今後のダンスミュージックシーンがどのようになっていくのかなど、貴重な意見を訊くことに成功した。

  

Q1. 新曲「Good Luck」をお聞きしました。この曲について詳しく教えて頂けますか?

このトラックの制作は僕の息子がホームスタジオで楽曲制作を始め、彼の曲を僕が聞いた時が始まりさ。その時、彼の作るトラックは僕にインナーシティの曲を思い出させたよ。“この曲はまさに僕そのものだ!”ってね。ただその時、その曲は当時のInner city的なリフ音の目立つInner cityサウンドそのものだったから、今の僕ならもっとこの曲をよくできるんじゃないかと感じたんだ。だから僕とDantiezで共にこのトラック制作の仕上げをしたのさ。Reese Projectの一員として共に活動していたDantiezの母にも協力してもらい曲の歌詞と曲名の”Good Luck”の銘々に至ったんだ。これがこのトラックの成り立ちだよ!

 

 

Q2. 2017年も間も無く半分終わりますが、ここまでの調子はいかがでしょうか?

毎年僕にとっては素晴らしい年なんだ。年を追うごとにすべてが良くなり、テクノロジーが進化し、そして音楽シーンの新しい時代を体感することができる。僕の歳は増していくけれど、歳に関係なく僕を常にわくわくさせてくれるこの仕事を愛しているよ。今年はこれまでのプロジェクトに加え(Inner City, an E-Dancer live show, The Belleville Three等)に加え他のプロジェクトを開始したんだ。だからかなり忙しくなっているよ。僕の大切なスタジオでの時間を可能な限り絞る必要があるくらいにね!

 

Q3. 今までのキャリアの中で一番大切な瞬間はいつでしたか? 

僕はいまだに1988年が僕のキャリアにとって最も大切な時だったと感じているよ。本当に多くの刺激とチャンスのある年だったし、ここで得たものを抜きに今の僕を語ることはできない。

1988年はまずUKで始まった。当時UKはまだダンスミュージックシーンが発展する直前で、ハウスはバブル期を迎えたばかりだった。僕はその後Derrick MayとBlake Baxterとのツアーから戻ってきたところだったけど、ほとんどのギグはあまりクールなものではなかったんだ。Virginのテクノコンピレーション・リリースパーティ以外はね。そのパーティは本当にイケてたね!!まるでシーンの次のいきくつ先を見ているようだった。

その流れでWee Pappa Girl Rappersの曲のリミックス制作依頼があったんだ。オリジナルのヴォーカルサウンドをまるで僕の音楽へと変換させる手法は、皆のRemixへの価値観を少し変える結果になった。もちろん Virgin のテクノコンピレーションアルバムには皆から多くの注目を集めたInner cityの”Big Fun”も収録されていたよ。夏にもう一度UKに戻った時、半年前とはくらべものにならないほどシーンは劇的に進化していて、あまりにもすごいもんだから僕は一か月ずっとUKに留まるほどだった。

オーディエンス全員が巨大なウェアハウスパーティでアシッド音楽に揺られ大盛り上がり!とにかくその後の僕のキャリアに影響を与える要素がたくさん詰まった年だったよ。

 

Q4. もし一番お気に入りの曲を1つ選ばなければならないとしたら、それはなんでしょうか?

一つは”Good Life”。なぜなら”Good Life”はInner Cityの”Big Fun”にインスパイアされて完成した曲だからね。これは”Big Fun”への完璧なアンサー曲となり、”Big Fan”をネクストレベルへ昇華させる結果となった。“Big Fun”を超える曲を作ることは、かなりチャレンジングだったけどものすごい傑作となったね!

もう一つは”Till We Meet Again”。スロービートの中にありったけのソウル、感情を詰め込みグルーヴィンに仕上げたとても美しくい曲なんだ。この曲は僕の持つ多様性と成熟度合いを表現してくれている。それにByron stingly とParis Greyは共にシカゴからのシンガーで、二人の完璧にマッチし歌声も最高だよね!

 

Q5. 今日までのショーで必ずプレイしている楽曲はありますか?

僕は常に僕の新しい作品をプレイする方法を模索し続けている。オーディエンスをロックすることに加え新鮮さを感じてもらえるようにね。加えて、これまでRichie Hawtinの楽曲をかけないことはなかったよ。オーディエンスを心をつかむのには常に効果的だし、今後も色あせない名曲ばかりだからね。

 

Q6. 2017年、そして今後ダンスミュージックはどのようになると考えていらっしゃいますか?

さらに一段階進化すると思う。昔に比べ、今は多くの人がダンスミュージックに耳を傾けるようになっている。たくさんのジャンルとスタイルがある今、皆がそれぞれのダンスミュージックへの道を模索する時間は必要だけれどね。おそらく彼らはEDMかTrapからその第一歩を踏み出し、次第にDeep house > Tech house > Technoもしくは他のジャンルという流れになると予想している。それは、オーディエンスの多様化が進み、多種多様なサウンドがたくさんの人に好まれるということでもある。オーディエンスの進化と共にシーンの進化も加速していくと思うよ。具体的には、オーディエンスのニーズに合わせて、より実際のパフォーマンスが重視される時代になっていくと思う。ここに関してネガティブな側面があるとすれば、アーティストとしてスタジオにこもって作業をする十分な時間が少なくなるということ。楽曲制作にかける時間が限られてくる。もし、あなたがツアーや遠征を嫌うアーティストであるならかなり難しい状況になると思うよ。僕はそのすべてをエンジョイできているけどね!

 

 

Q7. 日本のファンの皆さんが驚くような情報は何かありますか?

おそらく僕の生い立ちを知れば驚くよ。Derrick MayトJauan Atkinsは僕らが11歳の時からの知り合いさ。なぜかって?僕らは同級生なんだ。最初Derrickのことが好きではなかったことを覚えているよ。一回パンチをお見舞いしてノックアウトさせたこともあるくらい!それが面白いことに、今となってはとても仲のいい友達になっているよ!

 

Q8. いま進行中のプロジェクトはどのようなものがありますか?

僕とDantiezが4~5つのInner City のトラックを手掛けている途中だよ。その中には、E-Dancer のアルバム‘Heavenly’ のリヴァイス版がある。最近のトラックに加え、オリジナルソングのニューバージョンを収録しているんだ。そしてE-Dancer live showもあるよ。2018年のワールドツアーに向けての準備が始まったばかりさ!

 

Q9. 日本のファンの皆さんにメッセージをお願い致します。

日本からの応援本当にありがとう!3年間ほど日本には訪れていないけれど、また行く日を心待ちにしているよ!日本のカルチャーやホスピタリティ―、そして音楽への姿勢に僕は虜なのさ。僕にとってとてもいいインスピレーションになる。料理も最高だね!ピース!

 

 

テクノやハウスを中心に数多くの楽曲をリリースし、多大な影響と実績を残したKevin Saunderson。Inner CityはKevin Saundersonが女性ボーカリスト、Paris Greyと組んで生まれたプロジェクトであり、ピーク時には600万以上のレコードが世界中で売られ、一種の社会現象となった。世界中のチャートで1位にランクインしたことは数知れず、Kevin Saundersonがいなければ今のテクノは存在しないかもしれない。そんなレジェンド、Kevin Saundersonにぜひ今後も注目して頂きたい。

 

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