EDMシーンで彼を知らない人はいないだろう。DJ MAG TOP 100 DJs2015で70位に輝いたUMEKは、イビザのSpaceで開かれるCarl Coxのパーティー"Revolution"でキーパーソン的レジデントを務めていた他、数え切れないギグと世界中のフェスでヘッドライナーをこなし、その実力と人気は業界トップクラスだ。1993年からDJとして活躍しているその功績は、地元スロベニアのファンから"Votter(Fatherの意)"と呼ばれ、世界中の一流DJたちも師と仰ぐ存在だ。そんなUMEKが12月にTOKYO DANCE MUSIC EVENTに登場し、プロデューサーの極意を伝授するという。今回、来日前のUMEKにインタビューを行った。

 

Q1. 今や世界で活躍するプロデューサーとしてその名が知られていますが、なぜプロデューサーになろうと決意したのでしょうか。何かきっかけがあったのでしょうか?

まず当時と今を比べると、当時はDJになりたいならプロデューサーに必ずしもなる必要はなかった。ご存知の通り、この考え方は今では完全に時代遅れだ。DJ、そしてプロデューサーの両方をするだけではなく、最低でもレーベルを持つか、人気のラジオを持たなければならない時代。しかし、僕は当時から両方やっていたよ。EDM以外に全く興味がなかったし、死ぬ気で音楽の作り方を学んでいた。もしあなたが何かにハマれば、もっと知りたいと感じることは自然なことだと思う。僕のDJとしての成長はとても早かったと自分でも感じているが、プロデュースに関しては少しずつだった。初めてプロデュースをし始めた時、基本的な知識もなかったし、適切な情報や良い装置、メンターもいなかったから大変だったけど、長い期間をかけて徐々に良くなっていったよ。僕はいつも一味違うサウンドが好きで、昔は人々が聞いたこともないような音楽をたくさん作ってきた。しかし、時とともにある特定の音楽のルールに従わないとダメだということを学んでいったんだ。それから色々な試みをしていったよ。僕がやってきたミスの数々は、最終的にテクノに多大な影響を与える曲を生み出すことに繋がった。それらの原型となった音楽の裏に知識なんてものはなかったけどね:)

 

Q2. 様々な種類のトラックを作っていますが、どのようにひらめいているのですか?周りの人々や環境、普段聴いている音楽だったりするのでしょうか?

僕は、ほとんどの場合ダンスフロアの人々が僕の音楽にどんな反応を示すのか、そこからひらめきを得ている。プレイするときはDJとして感じているエネルギーや感情を音楽で表現しようといつも試みているよ。僕はサウンドやハーモニー、メロディーについてあんまり考えていない。もっと精神的、身体的なレベルのことに細心の注意を払っている。特にバスラインやバスドラムかな。僕の音楽はパワフルで、プレイするときはいつも、ダンスフロアの人々が触れ合って動きたくなるような、そんな特別なエネルギーを作ろうとしている。だから、僕の音楽はその目的を達成するためにとても合理的だと思っているよ。

 

Q3. 音楽を作るとき、何が一番大切なのですか?

僕は音楽のスタイルによって、音楽の作り方を少し変えている。でも、共通して言えることはいつもバスとドラムのパターンには細心の注意を払って、多くの時間を割いているよ。一度曲のベースを固定すれば、他の全てはかなりシンプルになる。一方、時々テレビを見ているときやインターネットをしているときにとても良いベースを聞き、今すぐステジオに行きたいと感じる時もあるから、家の地下にスタジオをセットしてあるよ。こんな場合は、いつもSynthesizerとともに曲をプロデュースし始めて、納得がいくまでやり続ける。そしたらゆっくり落ち着いて眠れるからね。

 

Q4. Toolroom Academyのプロジェクトは今のところいかがでしょうか?数年後、このToolroom Academyやあなた自身はどうなっていると思いますか?

僕はこれからもこのプロジェクトに貢献し続けるって約束できるよ。これからも多くの若いプロデューサーを支援していきたいし、それに喜びを感じている。僕はToolroomに携わって、次世代のプロデューサーに曲の作り方や曲を作るプロセスの中で考えるべきこと、どんなツールを使うべきかなどを教えられることが嬉しいよ。このプロジェクトは本当に価値がある。僕がプロデュースし始めた時はこんなものはなかったからいつもアーティスト同士で知識をシェアしてたけど、このプロジェクトが90年代にあったら僕も影響を受けていただろうね。EDMシーンは進化しているよ。

 

Q5. なぜToolroom Academy Projectに参加しようと決めたのですか?

答えは簡単だよ、なぜなら最高のプロジェクトだから。このプロジェクトによって僕が培ってきた知識や秘訣をもっと上手くなりたいと思っている若い人を中心にシェアできるじゃん。

 

Q6. 2016年の残りの予定、2017年の最初の予定はどのような感じですか?

今関わっているとても面白いプロジェクトは、Viberate.com。これは、新しい分析のアプリで音楽業界の人なら役に立つものだと思うよ。僕らはこれを数週間前のADEでリリースしたんだ。EDMシーンで最も便利な分析ツールの1つだよ。https://topdeejays.com/ Viberateは本当に大きなプロジェクトで、この開発チームに参加できたことが本当に嬉しいよ。僕らのチームはみんな統計マニアで、当初の良いアイディアを投資を得ながら良い形で開発できたと思っている。 あと僕がこの前リリースした「1605」もチェックしてみて。 それと今は、Electrixの新たなZeta Reticula の制作に取り掛かっているよ。 ヨーロッパやオーストラリア、アジア、北米でのギグや、メキシコでのBPM Festival、Groove Cruiseなど、来年も乞うご期待!

 

Q7. 日本でもまたプレイする予定はありますか?

もちろん!12月2日に東京のWombでプレイする予定だよ。また東京に行けることが本当に楽しみ。東京は世界で最も面白い街の1つだよ。文化や建物、人々、全てがとてもユニークだ。ヨーロッパにこんな光り輝いてる街はないし、僕は東京が大好きだ。パーティーもいつも最高だし!東京でプレイする前に何日か観光もする予定だよ。

 

Q8.日本のファンへメッセージをお願い致します。

日本に行ける日が本当に楽しみだよ。みんながエキサイティングしてくれることを願っている。ぜひWombのダンスフロアで会おう!

 

DJで最も必要なスキルを「良い音楽を選び、人々がその音楽に興奮するやり方をDJ自らが示せることだ」と語るUMEK。DJやプロデューサーとして世界のビッグフェスやクラブで活躍する傍ら、レコードレーベル1605Music Therapyを設立し、数々の名曲を世に届けてきた。彼のこれまでの功績を見れば、「八面六臂」という言葉がピッタリだろう。そんなUMEKがTOKYO DANCE MUSIC EVENTでこのイベントに参加しなければ聞けないような話やレクチャーを多く伝授してくれるという。この機会に是非足を運んでみてはいかがだろう。

 

 

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