DJMag TOP100DJs 2015年で4位を獲得したArmin van Buurenは、過去5回(2007年、2008年、2009年、2010年、2012年)TOP100DJsで1位を獲得しているダンス・ミュージック界の超人気者だ。そんなスーパースターが主宰を務め、2003年にMaykel Piron、David Lewisらと設立したのがダンスミュージックレーベル「Armada Music」だ。Armada Musicは、EDMに特化した超巨大レーベルであり、オランダを始め世界中に数々の興奮を届けてきた。Armada Musicが主宰するイベントには、Armada Nightがあり、アムステルダムやロンドン、ニューヨーク、ブエノスアイレス、ローマ、ジャカルタ、メキシコシティーなど世界中で、そして日本でも度々開催されている。開催される度に、トランス・オーディエンスだけではなく、EDMファン、クラブ・ミュージック・ファンなど多くの音楽ファンが時間を忘れ、最上のひと時を過ごしている。そんなArmada Musicを初期の頃から支える共同オーナーでCEOを務めるMaykel Pironに、Armada Musicの歴史、DJMagについて訊いてみた。

 

DJMag Japan × Maykel Piron 独占インタビュー

Q1. Armada Musicを始めた経緯を教えてください。パートナーとはどうやって知り合ったのか、そして、一緒に事業を行うことをどうやって決めたのでしょうか?
僕は、業界でそこそこの経験を積んでいたからね。19歳でDJの宣伝サービスを始めていたし。Purple Eye productions社に移籍してからは、Armin van Buurenとか有名なアーティストのレコード・リリースをずっと担当していたんだ。1999年、ワーナー・ミュージック・ベネルクスから、ダンス・ミュージック分野の立ち上げをしないかと声が掛かったんで、ワーナーのChapellを含む、ワーナー所有の3つのレーベルのA&R(アーティスト&レパートリー)マネージャーとして3年半働いた。だけど、2003年、もっと成長するにはどうしたらいいのか、と考えるようになったんだ。僕は新しいタイプの挑戦を求めていて、アーミンとデビッドにパートナーとしての資質を見つけたんだ。それが、まったく新しいレコード会社を設立するに至る経緯さ。

 

Q2. 「Armada Music」という名前には、ちょっと変わった背景があると聞いていますが、命名の背景について教えてください。
そんな大そうな話じゃなくて、いたってシンプルだよ。僕ら3人の名前、Armin van Buuren、Maykel Piron、David Lewisを省略すると、「AR-MA-DA」になるだろう? なんとなく、ぴったりに感じたんだな。誰かのアイデアだったのか、偶然に並べた結果だったのか、今ではよく覚えていないな。

 

Q3. レーベルの立ち上げ以来ずっと、世界的に有名なプロデューサーを抱え続けていますが、何か秘策でもあるのでしょうか?
アルマダでは、大スタジオを満席にする大スターでも、才能溢れるアーティストでも、或いは全くの新人だろうが誰であっても、契約する人を信じることにしている。僕らは、アーティストとして、また一人の人間として、彼ら個人個人に価値を見出しているから、本人が本当に作りたい音楽以外を作ることを強要しない方針を採っている。誰もが、創造性という点で完全に自由な環境を与えられていて、また、誰一人の例外なく、制作にむけて専念できる環境を提供するのがアルマダ流だ。恐らく、これが最強のロースターを維持している秘訣じゃないかな。

 

Q4. Armada Musicは輝かしい成功を収めていますが、今後のArmadaの進むべき方向についてどのように考えていますか?
3年前、より多くの作品を発表し、多様な音楽に取り組むという方針に切り替えたんだが、今でもその方針に変更はないよ。いろんなジャンルのアーティストが、ほぼ毎日のペースでロースターに登録されていて、業界もその点には気が付いている様だな。アルマダを確固たるブランドとして育てていきたいし、そのためには、エレクトロ・ダンス音楽の全領域で世界中の才能あるアーティストと契約したい。僕らは、毎回契約する度に、新しい偉業を達成したと捉えている。今後も、前向きに素晴らしいアーティスト達と契約していきたいし、それが将来、最高のトラックを制作するコツだと信じている。

 

Q5. 最近では、オランダのシーンを抜きにして、ダンス・ミュージックについて語れない状況となっていますが、この現象をどの様に見ていますか?
オランダが、アーティストが活動するには素晴らしい環境であることは事実だ。それに、革命的な数多くのDJや音楽プロデューサーを輩出してきたので、世界的にも注目されるのは当然だろう。重要なシーンであることは間違いないが、世界の最大の市場ではないし、騒がれるほど、北米市場の様に影響力があるわけでもない。とはいえ、世界的なキャリアを目指す才能溢れるアーティストにとって、最初の一歩として重要な拠点という位置づけではあるだろうな。

 

Q6. 日本の音楽シーンについては、何か印象や期待はありますか?
日本の音楽シーンは、アジアの音楽シーン同様、盛況だね。エレクトロニック・ダンス・ミュージックは、アジアでようやく人気に火が付き始めたみたいだけど、僕の見立てでは今後まだまだ伸びるな。観衆がエレクトロニック・ダンス・ミュージックを求める限り、シーンはますます成長するんだ。

 

Q7. ご自身にとって、DJMagはどんな存在ですか?
DJMagは、エレクトロニック・ダンス・ミュージック業界関係者に対して、常に新しい情報を発信するという、素晴らしい役割を果たしているね。

 

Q8. いつかはArmada Musicからシングルを発表したいと切望する、多くの日本人プロデューサー達に、アドバイスをお願いします。

ネット・ワーキングは絶対続けるといい。リスクを恐れちゃダメだ。それから、自分の強みやスタイルを固持しろ。

 

Maykel Pironは、Armada Musicの戦略は最も優れていると自負している。一番最近始まったサービス「Chased Management」では、アーティストのマネジメントを行うだけではなく、キャリア戦略やブランド設計にもフォーカスし、アーティストを全力で応援する環境を整えている。Maykel Pironは「我々Armada Musicは、音楽業界が進化するたびに、一緒に変わり続けている」と力強く語る。オランダのスーパースター「Armin van Buuren」を始め、名だたるDJ/音楽プロデューサーが所属し、トランス界のみならずダンス・ミュージック・シーン全体をリードするArmada Musicの動きには常に世界中が注目している。「Armada Musicは常に我々を成長させてくれる新しいチャンスを虎視眈々と狙っている」とMaykel Pironは微笑みながらも鋭い眼差しで言い切った。次は一体何を仕掛けるのだろうか。

 

Armada Musicとは?

 

Armada Musicは、2003年6月にArmin van Buuren、Maykel Piron、David Lewisの3名のファウンダーによって設立されたトランスをベースとする、ダンス・ミュージック・レーベルである。このレーベルは、ファウンダー3名の頭文字である「Ar・Ma・Da」からその名が付けられたことは日本ではあまり知られていない。今日トランス、ディープ・ハウス、プログレッシブ・ハウス、テクノ、さらにはポップスと、優れたリリースを続けるArmada Musicは、傘下に32のレーベルを束ねる巨大レーベルとなっている。2009年〜2013年には、International Dance Music Awardsにて「Best Global Dance Label」の称号を手にし、名実ともに「艦隊(英訳:Armada)」というにふさわしい活動を続けており、Armin van Buurenを始め、Andrew Rayel、Borgeous, Chicane、Dash Berlin、David Gravell、Erick Morillo、Gareth Emery、Jochen Miller、John Dahlbäck、Juicy M、Max Vangeli、Michael Woods、Mike Hawkins、Ørjan Nilsen、Third Party、W&Wら、所属DJ/プロデューサーも名だたるメンバーが顔を揃えている。

 

Armada Music傘下の33のレーベル紹介

 

 

 

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