Ultra recordsから新曲「All Night Long」をリリースした日本人プロデューサー・CARTOONから、エキサイティングなニュースが届いた。新曲への想いや、これからの活動について訊いてみた。

 

 

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Photo by Masanori Naruse

 

Q1.今回は、『All Night Long』のリリースおめでとうございます!まずは、今回日本人初となるUltra Recordsからのシングルリリースにあたっての率直な気持ちを教えていただけますか?

率直に嬉しい。念願。コロナ禍、本当にDJとしては海外のGIGもやれず、国内でも集客など厳しい状況下で、ダンスミュージックに向き合いスタジオに篭り試行錯誤し続けてきた甲斐があった。これまでにヨーロッパのレーベル、Cr2やMinistry of Soundなど契約惜しいところまでいっていたのに、コロナが始まり契約が実っていなかった中、自分自身が夢みていたアメリカのしかもNY発の世界的ダンスミュージックレーベル”Ultra Records”との契約なんだから。それも自分自身が一番愛し、TOKYOの現在進行形のクラブシーン、その最前線でかけられている”TECH HOUSE”ジャンルでのリリースが決まったわけだから。

 

Q2.今回日本人初となるUltra Recordsからのシングルリリースにあたっての経緯を教えていただけますか?

2018年のULTRAの会場で、当時Ultra Recordsの社長だったPatrickに偶然会った事がスタート。当時は自分の制作している楽曲が”TECH HOUSE”というジャンルだと明確な意識もなかったし、最初は何度かメールで制作したトラックを送らさせてもらったり、やりとりをしていたけど、それは止まっていたんだ。そして自分の人生を変えてくれるPARTY”EDGE HOUSE”が2019年に渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで開始され、自分もResident DJの一人として参加させてもらっていた。このEDGE HOUSEで毎回自分の制作したトラックをリハ前のサウンドチェックで視聴し、本番でDJ中にプレイし、その週末にスタジオで修正するこの連続ができた事で世界でも闘えるTECH HOUSEトラックのデモのアイデアが数多く固まっていった。そして、Patrickは私のことを覚えてくれていたかは定かではないけど、Ultra RecordsのSoからのPushがあって、彼がPatrickにVISIONのフロアで鍛えられたAll Night Longのトラックを聴いてみてもらった時、「TECH HOUSEは今のUltraのフォーカスオンだよ、いいね」とメールがかえって来たんだ!本当にそのメールが返って来た時はエキサイトしたし、大興奮だったよ。

 

Q3.リリースまでの道のりで苦戦したことなどがあれば教えてください。

これは当たり前のことだとは思うけど、あえてこれからの世代のDJの為に伝えたい。トラックは自分一人でこねくり回していても強くならないというか、成長しきらないんじゃないかと。完成してなくてもダンスフロアでかけてフロアのお客さんの様子をみて、スタジオエンジニアさんに相談して大きな音でスタジオで鳴らし、前日のフロアの鳴りの修正をする。勿論一人でもある程度は再現はできると思うけど、ダンスフロアのお客さん、スタジオスタッフ、エンジニアがまずは一緒になってくれないと難しい。自分にはそうだったな。Defected、Simma Blackなど著名レーベルからヒット作を出しているイタリア生まれでイビザなど本拠地とするBlack Legendに私の曲の”I Like Money”をRemixしてもらった時、もう本当に何度も、「音がThin(薄い)」「大きな音で聞いてるのか!?」と叱咤激励されて、ローとミドル音域の分離や重たくも広がりのあるキックの作り方は、一人ではなく、誰かと作業することで発見と成長があるってことに気づいた。友人アーティストやレーベルのA&Rから意見を聞いたり、分業とか共創って案外大変なんだけど、そのあたりも念頭に世界中のダンスフロアの中での”自分の音”の輪郭を完成させていくこと。それが一番難しいし、苦戦した。でもそれによって音が強くなるし、今回はその一連の過程をUltra recodsのワールドワイドなクルーとやれたことがまた”音の成長”に繋がったと思う。

 

Q4.この一曲を通してどのようなテーマやメッセージを意識されたでしょうか?

“All Night Long”まさにそのまま。自分自身、夜が大好き、その中でも真夜中のクラブのダンスフロアで朝に向けて何かが起こるかもしれないという期待感をトラックに表現したかった。ピークタイムに向かう一歩手前の0時前後のダンスフロアに対する抑えられない期待感。ボーカルネタもストレートでわかりやすく、ザ”TECH HOUSE”というパッと聞いて耳覚えが良いように輪郭もしっかり残し仕上げている。実は、半年前からこの“All Night Long”の一部を自身がHOST MCを務めるInterFMレギュラー番組(月〜金曜の19時〜20時)“sensor”の冒頭のBGMで使っているのでリスナーは「お、このビートは!?」となってくれて、サブスクライク、ラジオライクにもなってると思う。勿論、BeatportでWAVで購入してもらえたら、フロアでローがしっかり下支えしながらも、ドンシャリと全体で鳴ってくれるサウンドに仕上がっているので世界中のダンスフロアで、DJの皆さまにはプレイしてもらいたいよ。

 

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Photo by Masanori Naruse 

 

Q5.ここ2年間のコロナ禍というのはCARTOONさんにとってどのような影響を与えたでしょうか?

まずは自身のラジオでも話しているけど、私、コロナ罹患で重症化、死にかけてるので。2ヶ月入院したし、それで人生変わったというか転換点。明日死ぬかもしれないので、もうやりたくないことは一切やれないというか、やりたいことだけをしっかりやって生きようと思った時、やっぱり「ダンスミュージックつくりたいな。」って。それでスタジオのエンジニアやスタッフと篭る毎日で、その中でDJすることもできない、クラブにもいけない中、妄想ダンスフロアを頭の中で再現しながら集中して出来上がったのが”All Night Long”。そしてこのトラックが、Ultra recordsに認めてもらえた。DEMOが出来上がって、現場復帰してからトラックがミックスダウン完成に向かうまでに、ともかくVISIONのGAIAのサウンドシステムで目一杯鳴らしては修正してを繰り返し、音が鍛えられてリリースに漕ぎ着けられた。本当にコロナ禍の奇跡って言っても過言じゃないし、罹患して死にかけてなかったらこの音作りの領域に達してなかったかもって今でも思うよ。不幸中の幸い(笑)今となっては笑えるけど。

 

Q6.コロナ禍で日本のダンスミュージックシーンがなかなか盛り上がりを見せられない日々が続きましたが、その中での海外レーベルからのリリースというのはCARTOONさん、またシーンにとってどのような影響があるとお考えですか?

Ultra recordsって、勿論Youtubeの登録者数2800万人、世界最大クラスのアメリカNY発のダンスミュージックレーベルだと思うんだけど。出してるARTISTや曲も凄くて、Calvin Harrisの”You Used to Hold Me”、deadmau5 の"Moar Ghosts N Stuff”から、Ultra recordsからのリリースでグラミーを受賞したBlack Coffee、最近はTECH HOUSEのスーパースターSolardoやJohn Summitもリリースしてるレーベルだからね。勿論、日本で契約できたのは初って聞いているけど、Cartoonとして彼らとレーベルメイトになれるんだから、影響力というか夢があると思う。自分が拠点としている東京、渋谷からまた世界のダンスミュージックシーンにコネクトできるHUBになれたらと思うし、InterFMの番組企画で発足したsensor labelでもオーナーとしても、これからも日本の新しい才能を世界に対して発信していきたいと持っていたから、それも連動もできる可能性もあるし楽しみ。というか、早くSolardo先生に、レーベルメイトとしてREMIXの打診をしたいです。して欲しいと、勝手な希望はUltra recordsに伝えてあります。

 

Q7.2022年に入ってからCARTOONさんがレジデントを務めるEDGE HOUSEでもMercerを招聘したり海外アーティストの来日が徐々に増えてきたことなど、ダンスミュージックシーンがコロナ禍以前の盛り上がりに戻ってきましたが、CARTOONさん自身の活動に何か変化はあったでしょうか?

このインタビューに答えている前日にちょうどPRADAのPARTYでRichie Hawtinさんをご紹介頂き、少し立ち話をしたのだけど、ヨーロッパもイギリスやスペイン、オランダなどはもう完全にダンスミュージックの熱は戻ってきており、彼も翌日には日本から次のGIGにとばなければならないぐらい大忙しだと。私自身も、2019年にオランダ人のエージェントとアジアリージョンに関して契約をし、その収益次第で欧米も狙うという予定だったので、2022、2023年はリリースはUltra recordsの今回のエクスクルーシブの契約の下、リリース曲数を増やし、そののちまた海外エージェントとも交渉して、海外移住も含めて活躍の場所を探していきたいと思っています。

 

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Photo by Masanori Naruse

 

Q8.海外レーベルからのリリースをきっかけに、CARTOONさん自身も海外に向けた活動など行われているのでしょうか?

まず第一にはUltra recordsからのリリースを継続的にし続けていきたい。一度契約したからといっても、それが簡単に続くわけではないし、厳しいUltra recordsのリリース基準をクリアした楽曲を毎回仕上げなければいけないといけないこれは本当にプレッシャーだけど、全力で楽しみながらグローバルレーベルに挑戦していきたい。リリースをきっちりやりながら、国内は”EDGE HOUSE”などレジデントを務めるPARTYでDJをしっかりやり、可能なら大型フェスでのDJも狙い、海外に関してはこれまでも招聘してくれている韓国、インドネシア、ベトナムなどはリリースタイミングで現地の、WOMBで共演している韓国のDJのKYPERや、Ultra recordsのレーベルメイトのインドネシアのスターDJのDipha Barusなどと一緒にツアーもやってみたい。勿論海外のエージェントとの仕事も欧米は視野も入れて3年スパンぐらいで活動を地に足をつけて海外戦略含めて考えていきたい。

 

Q9.CARTOONさんにとってこの曲がどのような人に届いて欲しい、聞いて欲しいでしょうか?

全世界のTECH HOUSE好きに聞いてもらいたい。そしてリリース日の8/5の”EDGE HOUSE”@VISIONに集まるお客さんに全身でGAIAのサウンドシステムで浴びて欲しい。

 

Q10.最後に、今後の活動に関して教えてください。

まずは“All Night Long”をどこまで、世界中の人が聴いてくれて、世界中のDJが各国のダンスフロアでかけてくれて、世界中のダンスミュージックラバーに届くのか、そこが一番のチャレンジです。次の作品も(※タイトル未定)既にミックスダウンは終わって、Ultra recordsからのマスタリングが上がってきたらGOなので、REMIXも含めてよりグローバルに発信していきたい。同時平行で、日本全国DJは飛び回って、今年はADE(アムステルダム)も来年はWMC(マイアミ)にも必ずチャレンジしていきたいと思う。

 

 

Cartoon - All Night Long

 

ARTIST : CARTOON

SONG TITLE : All Night Long

RELEASE DATE : 2022/08/05

RELEASE LABEL : Ultra Records

 

 


 

Ultra Records Logo

 

ULTRA RECORDSとは?

ULTRAは、Ultra Records、Ultra Music Publishing、Empire Artist Management、そしてUltra Music Festivalとの戦略的提携から成る、エレクトロニック・ダンスミュージックのトップブランドです。 1995年に元PolygramとVirgin Recordsの重役であるPatrick Moxeyによってニューヨークで設立され、現在のULTRAの登録アーティストには以下のようなメンバーがいます。Steve Aoki, SOFI TUKKER, Icona Pop, Anabel Englund, Era Istrefi, Deorro, Klingande, NGHTMRE, Black Coffee, DVBBS, filous, Mako, Carnage, Karen Harding, Chris Malinchak, Bakermat, MK, Benny Benassi, Haux, Tisakorean, OMI, Bearson,などが多数リリースをしています。 北米で50以上のゴールド、プラチナ、マルチプラチナの認定を取得 133以上のゴールド、プラチナ、マルチプラチナの国際認定を取得 300万枚以上のウルトラブランドのコンピレーションを販売 Billboard「Dance Airplay Label of the Year」賞を7年連続受賞 2005年よりInternational Dance Awardsの「Best American Record Label」受賞 LA、トロント、ニューヨーク、ロンドン、香港に事務所を開設 アトランタ、ロンドン、スウェーデンにスタジオを設置 Ultraの最初のリリースは、Roger Sanchez presents Translantic Soulによるシングル「Release Yo' Self」でした。約25年にわたるレーベルの在籍期間中、Basement Boys、Roger Sanchez、Louie Vega、Sasha、Wildchild、DJ Sneak、Reel Soulから、deadmau5、Calvin Harris、David Guetta、Tiësto、Avicii、Armin Van Buuren、Axwellといったアーティストなど多くのマイルストーン作品をリリース。Ultra Recordsは、シングル、EP、ミックスコンピレーション、アルバムなど、7,500以上のリリースしている。

 

年次著名アーティスト

 

2010 David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)、Pitbull(ピットブル)

2011 Tiësto

2012 DeadMau5 

2013 Kaskade 

2014 Calvin Harris 

2015 OMI 

2016 Steve Aoki 

2017 Kygo 

2018 SOFI TUKKER 

2019 Solardo 

2020 Anabel Englund

2021 Icona Pop

 

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