ベルギー、Antwerpをベースに活躍するアーティストマネージャーNick Royaards。彼が担当するアーティストは、世界トップレベルのアーティストであり、DJ MAG TOP 100 DJs 2016で2位に輝いたDimitri Vegas & Like Mikeをはじめ、Lost Frequenciesや3 Are Legend、Yves V、Angemiらを裏で支え、EDMシーンには欠かせないマネージャーとして活躍している。普段、あまり表舞台で見ることがないアーティストマネージャーにDJ MAG JAPANが独占インタビューを実施、アーティストマネージャーという仕事やEDMシーンの今後について訊いてみた。

 

Q1. アーティストマネージャーとしての日々の作業を教えてください。

数日はかかるけど時間は大丈夫かい?笑 僕がやらないことを聞いた方が早いよ。

例えば、他もいるが、僕はDimitri Vegas & Like MikeやLost Frequenciesのマネージャーとして活動しているよ。僕の母国ベルギーから産まれたワールドクラスのデュオたちだね。気づいたんだけど多くの人は、「アーティストマネージャー」という職業をあまり理解できていない。それを僕が答えるとすると、いろんな職種を1つにまとめた役職だね。アーティストマネージャーは、プライベートジェットで世界中を回り、最高級のレストランで食事を楽しみ、五つ星のホテルで寝泊まりしているイメージを持っていると思うがそれも事実であり、しかし、それはたったの5%という楽しい割合でしかない。本当は、24時間体制で電話をしているし、戦略を立てているし、オペレーションマネージャーでもあり、ブッキングエージェント、契約を結ぶ作業をしたり、トラブルを解決する人、アーティストのメンタルケアをしたり、栄養士、オーガナイザー、カウンセラーなど多くのことを一気にしているんだ。アーティストは、一人一人が違うからこそ彼らにあったサービスを常に提供して、彼らがハッピーでいられる状況を作り上げる必要があるんだ。もちろん、お互いに尊敬という関係値がないとできないことだと思うよ。

 

Q2. 自分の背景についてお伺いしてもよろしいですか?最終的にどのようにして、この職に就くことになったのですか?

2010年、僕の会社Blue Flameは、ベルギー国内で最大のナイトライフコンセプトをプロデュースする会社になる間にいたんだ。当時は、150ものクラブイベントを一年で開催し、10万人以上もの人々を巻き込んでいた。当時有名だった”Bonthuys”や“The Unit”、 “Déjà vu”、 “Mob Nights”、 “Blow”は、僕らが1から作り上げたブランドなんだ。僕らは、ChuckieやSebastian Ingrosso、 Dadalife、 Yellow Claw、 DJ Jazzy Jeff、 A-Trak、 DJ Kool、DJ Premierなどを始めてベルギーに連れてきたパイオニアの一人だった。つまり、当時は僕らがTomorrowlandで自分たちのことをやるのが当たり前だったよ。これにより、毎年恒例とされているBlue Flame Stageができるようになったんだ。当時出版された新聞で僕らのステージがフェス内で一番ホットだと書かれていたのを覚えているよ。汗が天井から垂れていたよ。でも、それは事実か知らないけど、パーティーの仕方は間違ってなかったね!2012年、2013年には、このフェスのオーナーでもある一人と頻繁に僕の今後について話すようになり、そこからDimitri Vegas & Like Mike とYves Vを少しずつマネージするようになっていったんだ。4年も彼らと仕事しているが、最高のアドベンチャーとしか言いようがないよ。今ようやく、今までの苦労が身になってきたよ。僕にこの話が来た時は、彼らはDJ MAG TOP 100 DJsで38位だったけど、去年は世界一を取ったからね!

この成功例をもとにLost Frequenciesもマネージするようになって、彼らは僕とDimitriで早い段階に発掘したんだ。

 

Q3. Dimitri Vegas & Like MikeやLost Frequenciesといった大物をマネージするのは、どんな感じですか?

すべてのアーティストが違い、彼らのニーズも変わってくる。スーパースターという称号は、その実情を変えることはないだろう。僕にとって一番重要なのは僕の発言に従い、それにより彼らのビジョンを実現化することなんだ。とてもクリエイティブで情熱を持ったアーティストたちは、自らの道が見えているので、それをフレームワークに落としてあげて実現化させてあげることが重要なんだ。彼らを世界のトップまで連れて行くのと同時に、個人の人生もピースにしなくてはいけない。バランスがすべてなんだ。多くの人は、彼らの人生を想像もできないだろう。虹色な人生だと思いがちだが、それは大きな誤解だよ。彼らのようなアーティストになってくれば、日々違うタイムゾーンへと飛んで、空港、飛行機、ホテル、クラブ、フェスと睡眠不足の人生を送っている。まともな指導がなければ、彼らの人生は完全に狂うだろうね。

 

Q4. この業界のマネージメント側に興味を持っている人々にアドバイスを送るとしたら何かありますか?

人生における一番ワイルドで激しいジェットコースターに乗ることになるから覚悟したほうがいいよ!これは、冗談じゃないからね。

 

Q5. アーティストマネージャーとして経験した、一番の難問を教えてください。

毎日新しいプロブレムが浮上してくるから、数え切れないほどあるよ。本当にトップをマネージすることは、24時間対応だけど好きだよ。でも、成功という決まった目標をめがけているからトラブルがあっても柔軟に対応するようにしているよ。

 

Q6. 2017年、ダンスミュージックはどのように変化されると思いますか?

今までよりも強くなっていくと思うよ。今までの変化を見るとすごく変化するポテンシャルがあると思うね。今EDMは、ポップのラジオ局のトップの40でもフィーチャーされているし、10年前からしたら考えられないことだよ。アジアのマーケットも今EDMに関してクレイジーになっているし、ここ数年でさらなる拡大が予想されると思うよ。さらにいいことに、いろんなサブジャンルも出てくると思うし、面白い、明るい未来が待っているはずだよ。

 

Q7. ‘Bringing Home The Madness’や‘Lost Frequencies & Friends’といった大型イベントにも携わっていますが、これらの今年の予定を教えてください。

僕ら主催の‘Bringing Home The Madness’は、チームで完成させているもので、これは大きな成功だと言えるよ。これは、Dimitri、Mike、僕、とてもクリエイティブで才能のあるTomorrowlandチームとの素晴らしいパートナーシップから導き出されたプロジェクトだよ。去年の11月には、ドイツのサッカーチームシャルケ04のホームグラウンドでもあるVeltins Arenaでショーをやって45,000人も巻き込み、ドイツでのDJ ソロアーティストの記録を更新したんだ。あれは、正直すごすぎたよ。12月には、Antwerp Arenaで4公演全て完売し、合計84,000人とパーティーしたよ。これを超えるのは難しいが、今年もこれには挑戦し続けるよ。

 

Q8. 今年は、新たなアーティストと仕事をすることはありますか?

実は僕、30歳になったばっかりなんだ。つまり、これからってことだよ!このマネージメントビジネスは好きだし、さらに成長したいと思うね。もちろん、今のこともやりながら新しいチャンスを探しに出るよ。それは、トップDJであれ、新たなDJで僕がトップまで引き上げられると思った人でもいいんだ。どっちにしろ、常に情熱を持ったアーティストが多くの人々に自分の音楽を届けられたらいいね。

 

数年の間に、EDMシーンで輝かしい実績を残し続けているNick Royaards。2013年には、Tomorrowlandのチームに参画し、過去最大のイベント実績を作るほか、「Bringing Home The Madness」や「House of Madness」、「Lost Frequencies & Friends」などのイベントでクリエイティブディレクターとして輝かしい結果を残し、現在Dimitri Vegas & Like MikeやLost Frequenciesをはじめとする世界トップレベルのアーティストのマネジメントを担当している。週7日、24時間EDMのことを考え、EDMに人生を捧げているNick Royaardsが未来のEDMシーンを作り上げていくのに重要人物であるということは言うまでもない。今後の活躍に注目だ。

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